2020年7月31日 13:35
ゴミ収集車が無人で作業者に追従走行する三菱ふそうeキャンター・センサーコレクト
各種センサーを応用 クリーンで安全かつ効率的な作業を行なうEV車両を提案

昨日、三菱ふそうの本社川崎製作所で、2つのコンセプトモデルを紹介するデモンストレーション・イベント「Fuso Future Solutions Lab」が開催された。これは、社会におけるさまざまなニーズに対応したソリューションを生み出すことを目的に、従来の方式にとらわれない創造性や革新性を創出するオープンな製品開発のプラットフォームを提案するというもの。今回のイベントでは、自然災害およびゴミ収集における現状の課題に対するソリューションとして開発した2つのコンセプトモデル「eキャンター・センサーコレクト」(eCanter SensorCollect=ゴミ収集車仕様を用いたeキャンターの改造モデル)と「キャンター・アテナ」(Canter Athena=災害救助支援車両)が紹介された。
このうちアテナに関しては、本誌「フルロード」第36号で、試乗レポートを含めて詳細にご紹介しているので割愛するが、初公開となる「eキャンター・センサーコレクト」は、三菱ふそうの電気小型トラック「eCanter」をベースに各種センサーを搭載し、リモートコントロールで車両の一時停止や障害物の回避といった操作を可能にすることで、ごみ収集員の負担を軽減する次世代のゴミ収集車のコンセプトモデルとして注目される。

11111323A1589 (1).jpg

「eキャンター・センサーコレクト」は、遠方検知を担当するLIDARモジュールを4個、安全エリアを検知する単距離センサー16個、さらに高精度GPS、4G、WiFiなどの制御モジュールを備えている。これらセンサーから収集された情報を元にアクチュエーター制御システムがモータートルク、ステアリング、ブレーキなど車両の挙動を制御。ゴミ収集を行なう作業員は、スマートフォン式HМI(ヒューマン・マシン・インターフェース)によって車両を遠隔操作する。

22222323A1589 (2).JPG
下が車両の四隅に搭載されるLIDAR。上の青いデバイスが単距離センサーで車両各所に16個備えている

333333323A1589 (5).JPG
スマートフォン式のワイヤレスHМI こんなふうに腕に巻いて使っている

このHМIによる操作は、まず作業者が車両の前か後ろに立ち、スタートボタンを押して、作業者を設定。次に「follow me」モードで安全な距離を保ち、車両が作業者に追従する。作業者がゴミ収集ポイント付近の地点を設定することで、車両は設定地点まで移動し、停止する。作業者はゴミの収集作業を行ない、さらに次の収集ポイントに移動するというのが一連の流れになっている。

44444323A1589 (4).JPG
街中の作業現場を模したカラーコーンを回避して作業者に追従走行 運転席は無人である

55555323A1589 (3).JPG
収集ポイントに着いたら車両は停止。作業者はゴミを収集して、次のポイントに向かう。これによってゴミ収集車のワンマンオペレーションも可能となる
  
この間、車両は無人で走行するので、これまで複数人が車両に搭乗して行なっていたゴミ収集作業が、すべてワンマンでオペレーション可能になる。また、ベースはeキャンターなので、ゴミの荷箱への押し込みなどの作動もすべて電動パワートレインを用いており、これによって低騒音・ゼロエミッションを実現。場所や時間を問わずクリーンなゴミ収集が可能になる。
また、経路上の静止障害物を回避し、一定の安全距離を保ちながら追従するが、道路の横断など一般の人が安全エリア内に入ると、車両は緊急停止。さらに作業者は、HМIとは別に常時「遠隔緊急停止デバイス」を携行しているので、このボタンを押すことでも車両は緊急停止する。
今後の課題としては、高精度GPSが位置と向かう方向を追跡しているが、駐車場なとは別途対応が必要なこと、また、常に変化する交通状況に対応し安全性を確保するにはさらなる改善が求められている。さらに荒天や暗闇などでの対応も今後の研究課題だとしている。
今回の「eキャンター・センサーコレクト」は、作業者の歩く速度程度に追従する低速での無人走行で、いわゆる自動運転とは異なるものだが、今後の開発の進捗により、ゴミ収集車のみならず各種作業車両や宅配車両などへの展開も期待され、コンセプトモデルながら大いに可能性を秘めた車両と言えそうだ。


コメントする