2020年4月24日 15:28
ポスト・コロナを見据え 世界的メーカー間で未来志向のアライアンス
「千年に一度の災厄」とでもいうべき新型コロナウイルスが世界中で猛威をふるっていますが、そんな中「百年に一度の大変革」を見据えて、世界的なトラックメーカーの間で先進技術に関するアライアンスを結ぶ動きが加速しています。新型コロナ禍が過ぎ去ったあとに実を結ぶであろう未来志向のアライアンスは、なんだか希望を抱かせるニュースですね。以下、三菱ふそうトラック・バスおよび日野自動車からそれぞれ発表されたプレスリリースの要約です。


ボルボ・グループとダイムラートラック、燃料電池量産化に向け合弁事業設立                          

商用車業界の大手2社であるダイムラートラックAGとボルボ・グループは、2050年までに持続可能な輸送とCO2ニュートラル化を達成する政策案である「欧州グリーンディール構想 (European Green Deal)」を共有し、新たな合弁事業の設立に向けて、法的拘束力をもたない予備的合意に署名した。当事業を通して、大型車両やその他に適用する燃料電池システム 開発、生産および商用化を目指す。ダイムラーは現在の燃料電池業務をすべて当事業に集約する。ボルボ・グループはこの合弁に50%の借入無しの手元資金として約6億ユーロを出資する。  
 ダイムラートラックAG取締役会長兼ダイムラーAG取締役のマーティン・ダウムは、「輸送とロジスティクスは世界を動かし、輸送のニーズは引き続き拡大していきます。真のCO2ニュートラルな輸送は、バッテリーまたは車載の水素を電気に変換することにより、電動パワートレーンを通じて達成できます。重量物の積載と長距離走行に対応するトラックにとって、燃料電池は一つの重要な回答であり、この分野でダイムラー傘下のメルセデス・ベンツの燃料電池部門では過去20年間、広範囲な専門知識を蓄積してきました。ボルボ・グループとの当合弁事業は、燃料電池トラックとバスの普及を実現するマイルストーンとなります」と述べている。 
また、ボルボ・グループ社長兼CEOのマーティン・ルンドステット)「道路輸送の電動化は、グリーンディールと呼ばれる欧州におけ CO2ニュートラル政策、ひいてはCO2ニュートラルな世界の達成へ向けた重要な要素の一つです。長距離輸送に使われる電気トラックに環境にやさしい水素を利用することは、この活動の大切な一部で、バッテリー式電気自動車や再生可能燃料を補完します。開発を加速するためにこの分野におけるボルボ・グループとダイムラーの経験を統合することは、お客様と社会全体の双方にとって有益なことです。こ の合弁設立は、われわれが共に水素燃料電池商用車の将来性を確信していることを明確に示しています。ただ、この構想が現実になるには、とりわけ必要とされる燃料インフラの構築において他の企業や組織もこの開発を支援し、これに貢献することが期待されます」と述べた。 
 ちなみにボルボ・グループとダイムラーは独立した企業体として活動するこの合弁事業に折半出資し、これ以外の分野では引き続き競合していくという。両社が協業することで双方の開発コストを削減し、厳しい大型長距離トラックへの燃料電池システムの展開の加速が可能となる。現在の景気低迷局面において、実現可能なスケジュール内に「欧州グリーンディール」の目標を達成す には、これまで以上に協力が必要になっている。 
両社の共通目標は、厳しい要件を持つ長距離輸送で利用可能な燃料電池搭載の大型車両の量産モデルを 2020 年代後半に展開することで、さらに大型車両以外の自動車および自動車以外での用途もこの合弁事業の範囲に含まれている。   
 合弁を可能にするために、ダイムラートラックはグループ全体の燃料電池業務を、新たにダイムラートラック燃料電池部門集約。一部には、さまざまな車両に応用する燃料電池と水素貯蔵システムの開発において長年の経験を持つ「 Mercedes-Benz Fuel Cell 社」の業務をダイムラ ートラックへ移管していることも含まれている。 
合弁事業にはドイツのナベルン(現 Mercedes-Benz Fuel Cell社の本拠地)での業務が含まれ、 ドイツとカナダに生産施設を保有する。  
署名を行った暫定合意は法的拘束力を持っておらず、最終合意は第3四半期に調印され、手続きは年内に終了する見通しである。また、すべての取引は責任を持つ競争当局の審査と承認を条件とする。 
 
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ダイムラートラックグループの三菱ふそうが開発を進めるe-Canter F-CELL 


BYDと日野、商用EV開発を中心とする戦略的パートナーシップ契約を締結

中国の比亜迪股份有限公司(以下、BYD)と日野自動車株式会社(以下、日野)は、商用EV開発における協業を中心とする戦略的パートナーシップ契約を締結した。
今後、両社は協業を通じて商用EVの開発を加速し、ユーザーのニーズに最適な商品をタイムリーに市場導入していくことを目指す。まずは個別のEV製品の開発から協業を始め、さらには両社の知見を活用して、EVの普及促進に向けて販売面や周辺事業においても協力していく計画である。
今回の契約締結にあたり、BYD副総裁兼商用車部門CEOの王杰は、「BYDと日野は、電動商用車の技術革新およびグローバルでの普及促進に取り組んでいます。中国と日本の企業が協力することにより、先端技術と確かな実績を活かして商用EVを開発し、グローバル規模の普及促進をさらに加速してまいります」と語った。
日野の取締役・専務役員の中根健人は、「お客様にとって、実用性・経済性においても本当に価値のある商用EVの実現を目指し、ともに取り組んでいけることをうれしく思います。BYDのEV開発の実績と、日野の長年のハイブリッド車開発で培ってきた電動化技術と信頼性を融合させ、お客様に最適な製品をスピード感をもってマーケットに展開してまいります」と語った。
ちなみにBYDは、1995年にバッテリーの研究開発および製造会社として設立された。バッテリーやモーター、半導体デバイス、電子制御などのEVの中核技術に強みがあり、乗用車や商用車、フォークリフト、バッテリーを含むトータルエネルギーソリューションを提供している。BYD Commercial Vehicleは、バスからトラックまでの幅広いEV製品のラインアップをもつ世界をリードするブランドで、2011年に深センで電気バス「BYD K9」が営業運行を開始して以来、BYDの電気バスは50を超える国・地域の300以上の都市で導入されている。累計販売台数は5万台以上を数え、電気バスの販売においては世界トップを誇っている。

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日本市場にも導入されたBYDの量産型大型電気バスK9(大型路線バス仕様)


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