2012年5月30日 07:55
元ベテラン運転手 トラさんの「泣いてたまるか」No.68
トラックドライバーの誇り その66 最終回

今まで私が書いてきたことは、あくまでもチャーター便として走る小零細運送会社の実情と運賃についてです。混載便(小口、宅配便)の実情や運賃は含みません。つまり、4t車1台ナンボ、大型車1台ナンボの世界の話です。ですが、特に長距離輸送に関しては、この小零細企業が走っている数が圧倒的に多いのが現実です。

さて、最後にもう一度タクシー業界とトラック業界のことを振り返ってみましょう。
タクシーは最低運賃制度が認められたのに、トラック業界はなぜ認められなかったのか......。交通事故の危険性を考えれば不公平な話です。前にも書きましたが、圧力団体のことは挙げました。しかし、その観点だけではありません。いえ、同根と言えばその通りなのですが......。
荷主サイドの経済団体が反対するからだけでなく、実際に経済に与える影響が大きいからです。タクシーは国民である利用する客が払う運賃が上がるだけに過ぎませんが、トラックの運賃は荷主の負担だけでなく、それが国民すべての消費者の負担にもつながります。そして、値上げが出来ない荷主である製造業者は、かなりの痛手になるに違いありません。
しかしながら、低運賃が原因で過労運転が日常的になっているにもかかわらず、トラックドライバーだけでなく国民の安全を脅かしてよいものでしょうか。そして、法律違反を平気で犯している状態で、恒常的に営業していることが野放しでよいものでしょうか......。
また、水屋の運賃やピンハネに関して、また、このような運行実態は、バブル以前、規制緩和以前からあったものです。病根は深いと言わざるを得ません。そして、ますますその傾向が深まっている。
ドライバーの限界は、もうすぐそこまで近づいています。

トラックの場合、タクシーと違い最低運賃を制度化するのは困難でしょう。でも、世論が勝ったタクシー業界を参考にすべきです。なぜなら、根拠が乏しい中での最低運賃制度の復活です。世論の力は大きいのです。もう一度それを確認してください。

(統計 警察庁)と検索→統計警察庁をクリック→安全・快適な交通の確保に関する統計等→6行目の平成23年中の交通事故の発生状況→「PDF」→ダウンロードの画面の開く→「平成23年中の交通事故の発生状況」の20ページを参考。

まず、一億走行距離当たりの死亡事故の比率が出てきます。
営業用トラックが一番事故が多いのに対して、営業用乗用車(タクシー)一番少ないのがわかります。
また、下段には同じく1億km走行距離当たりの事故比率が載っています。そこでは、一転してタクシーの事故の多さが目につきます。トラックの3倍以上です。両方の比率から判ることは、タクシーの場合、遅ればせながらもブレーキを踏んでいるのが分かると思います。
そして、推移を見てください。この10年間、タクシーの事故率、死亡率に大きな変化があるでしょうか。なのに、なぜ安全確保のための最低賃金復活? 
また、トラックの事故比率と死亡比率、同じくタクシーのも見てください。トラックの死亡事故が多いのは、単に重量×速度だけではなく、力積があると説明しました。ドライバーの意識が覚醒している状態では、重量のあるトラックでもブレーキを踏めます。死亡事故はそんなに起きません。出会い頭の予測困難な状況は、トラックも乗用車も同じです。その時は死亡事故のような重大事故になるでしょうが、問題はノーブレーキによる事故です。
そうです、過労運転による半居眠り運転です。

タクシーの最低運賃が根拠に乏しい世論の後押しに対して、しっかり根拠のあるトラックの死亡事故撲滅を訴えれば、世論は動かせると信じています。

それにしても、水屋さんの反論や指摘があると期待していたのですが、肩透かしを食らった気分です(笑)
では、次回から話題を変えます。今後ともよろしくお願いします。

トラさんのブログ「長距離運転手の叫びと嘆き」
http://www.geocities.jp/boketora_1119/ 

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