2011年3月30日 17:53
救援ルートの啓開に挑んだ東北地方整備局の戦い

もはや世間やマスコミの関心は「福島原発」一点に集中してしまっているが、その陰で忘れ去られてしまいそうな、被災地の救援ルートの確保に尽力したある役所の話を紹介したい。東北地方整備局の話である。

ちなみに地方整備局とは、国土交通省の地方支分部局のひとつで、道路、河川、ダム、砂防、港湾など、管轄地方の社会資本整備関連の行政機関のこと。予算をどの工事に割り振るかを決定する、いわゆる「箇所付」等の大きな権限を持つため、利権や天下りなど、とかく色眼鏡で見られがちな組織でもある。つまりは「お役所」だが、しかし世間一般の「お役所」のイメージを払拭するほど素早い対応で、被災地の救援ルートの確保に尽力した東北地方整備局の働きは、もっと評価されて然るべきだと思う。

東北地方整備局が被災地の復旧・復興のための最重要課題として位置づけたのが、三陸沿岸地区の道路啓開・復旧だった。津波で大きな被害が想定される沿岸部への進出のため、「くしの歯」型救援ルートを決断。それは、東北道・国道4号という縦軸から、沿岸部を走る国道6号・国道45号へアクセスするための横軸となる「くしの歯」状の救援15ルートを速やかに通行可能にしようというものだった。
ここに「くしの歯」作戦と名づけられたミッションがスタートするのである。しかも忘れてならないのは、この作戦は震災当日の3月11日に打ちたてられ、速やかに実行に移されたのである。

「くしの歯」作戦の第1ステップは、東北道・国道4号の縦軸ラインの確保。そして、第2ステップが三陸地区へのアクセスとなる横軸ラインの確保だった。震災翌日の3月12日には、早くも11の東西ルートを確保し、14日には14ルートを確保。15日には15ルート全てを確保し、翌16日には一般車両の通行も可能にしている。さらに第3ステップとして沿岸部を走る国道の啓開に着手し、国道45号は3月18日までに97%が通行可能になるなど、道路啓開は概ね終了。同日より応急復旧の段階に移行している。

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この「くしの歯」作戦には、地元の建設業者をはじめ多くの人たちが携わっているはずだが、その思いが1つになって、作戦は見事に成功したのである。動脈である道路の重要性を知り抜いていなければ、これほど早い復旧は望めなかったことだろう。そこには、世間一般でいう「お役所仕事」のイメージはみじんも無かった。

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岩手県大槌町 国道45号の被災状況(3月14日)

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同地点の3月17日の復旧状況(片側1車線通行) 2日後の19日には2車線とも開放された

しかし、この東北地方整備局の「くしの歯」作戦は、おそらくはあまり世に知られることもなく、東北関東大震災のあまりにも多くの「後世に語り継がれるべきこと」の中に埋もれてしまうかもしれない。あるいは、「そういう役所なんだから、当然やるべきことをやったまでの話だろう」で終わってしまうかもしれない。
しかし震災当日の、情報が錯綜し状況が混乱する中で、「何としても救援ルートを確保するんだ!」という強い使命感の下、的確で迅速な対応を取った東北地方整備局の陣頭指揮は、称賛に値するものだし、被災者の救援や被災地の復旧・復興に直結する大きな役割を果たしたことは間違いないはずだ。こういう仕事ぶりこそ、まさに非常時に求められるものだと思う。

今は政府や行政を褒めるのは流行っていないかもしれないが、それでも敢えて言いたい、東北地方整備局の成し遂げたグッドジョブに拍手を!