2011年1月31日 11:39
岡雅夫の「働くクルマ」のショートエッセイ 第16回

<引っ張られ>


一度テストコースで重トラクタを試乗したことがある。50トンのトレーラを連結してNR装置なし(つまりスピードリミッターなし)の状態で走った。テストコースなのでいくらでもスピードは出せる。馬力のあるトラクタなのですぐに100km/h以上出てしまう。

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問題はその状態で高速バンクに入っていく時だ。ハンドルを真っ直ぐにしておくとヘッドがバンクの外側に向かう傾向があり、修正するのも怖いので、あらかじめほんの気持ちだけバンクの内側に向けてハンドルを切るようにする方がいいと言われた。

50トンもの重い荷物を引っ張っていると、どうしても重みでバンクからずり落ちる傾向になり、それにつられて頭が外側に向いてしまうのだ。つまりバンクを走る遠心力よりも荷物の重みの方が勝っていることになる。

このような状況はテストコースでしかありえないが、一般道は逆にバンクが無いのでオーバースピードでコーナリングすると、トレーラ自体が転倒する危険もあり、それに引っ張られてヘッドも転倒する。最近のトレーラにはこれを防止する電子デバイスがつくようになったが、重量物の力は侮れない。

(社団法人日本自動車工業会モーターショー室長)