2010年10月22日 16:03
ミシュランの「リグルーブ」プレスセミナーから

昨日、JARI(日本自動車研究所)の城里テストセンターで「トラック・バス用タイヤ・プレスセミナー」なる催しが開かれた。主催は日本ミシュランタイヤで、目的はミシュランが推進しているリグルーブの優位性を実証しようというもの。

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リグルーブというのは、タイヤに再度溝切りをすることで、最大で25%タイヤライフを延長するという、エコロジーかつエコノミーな手法のこと。もちろん、スリップサインが出た後に溝切りしても大丈夫なように、あらかじめ厚いゴム層を盛るなど専用設計されたリグル―バブルタイヤであることが大前提だが、ミシュランのトラック・バス用タイヤはほぼ全てリグルーブ実施可能な設計になっているという。

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ちなみにブリヂストンなどの国産メーカーは現在、再生タイヤとか更生タイヤと呼ばれるリトレッドに注力しているが、日本ミシュランでは、リグルーブしたタイヤが擦り減ったらリトレッドすることも推奨しており、リグルーブとリトレッドは決して対峙する手法というわけではない。リトレッド、リグルーブ、リグルーブ+リトレッドというように、そのユーザーの狙いやタイヤの状態に合わせて、最適な手法を選択できる方が得策ではないかというのがミシュランの考え方だ。

 

城里テストセンターの低μ路を使って行なわれたテストは、まず新品タイヤとリグル―バブルタイヤの転がり抵抗の違いを比較するもので、同一仕様の2台の大型トラックを用いて行なわれた。供試車両は、奈良県に本社のある富士運輸のGVW25トンの日野プロフィアFW(8×4)で、まさにカーゴトラックの最新トレンドを体現したようなショートキャブのトップスリーパー付きのウイング車。10トンのダミーロードを積載している。ちなみに今回のセミナーでは、富士運輸の松岡弘晃社長のプレゼンテーションも行なわれ、ユーザーサイドからリグルーブの有効性に言及した。

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さて、2台同時に時速30kmで侵入し、コース上のパイロンの位置でギアをニュートラルに入れ、惰性走行でどっちがどれだけ長く走れるかを試験するフリーローリングテストでは、3回の平均で7.8%、距離にして36.85m、新品タイヤよりリグルーバブルタイヤの方が距離がのびている。これはどういうことかというと、新品タイヤは、ブロックの動きが大きく歪みが出やすいなど転がり抵抗が大きいが、摩耗したタイヤの転がり抵抗は新品タイヤより25%も減少するため、フリーローリングで距離がのびる、つまりは燃費がよくなるということなのだ。この燃費がよくなった状態の摩耗タイヤをそのまま廃棄したり、あるいはリトレッドに回してしまうのは「もったいないでしょう」というのがミシュランの訴求点で、「だったら摩耗したタイヤをリグルーブして、省燃費かつ省資源に寄与しましょう。その方がずっとお得だし、環境対策としても優等生ですよ」ということなのである。ちなみにリグルーブされる溝深さは最大4mmなので、リグルーブしても燃費のよい状態が活用できるのだという。

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もちろん「省燃費だ省資源だ」といっても、タイヤに求められる最大の要件は安全性の確保である。水を撒いたタイル敷きの低μ路に、摩耗タイヤを履いた車両とリグル―バブルタイヤを履いた車両が時速40kmで侵入しブレーキングして、どちらがどれだけ制動距離が長いかを見るのがウェットグリップテストである。その結果、4回のテストの平均で摩耗タイヤの方が3.9%制動距離が長く、距離にして3.53m長いということが分かった。

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安全性を確保しつつ、省燃費やタイヤライフの延長に寄与し、地球環境の保護にもつながるリグルーブという手法は、いま少しずつトラックユーザーに浸透しつつある。  (キャップ)